無理のない育児

VBACへの葛藤〜決断

ご覧いただきありがとうございます。

前回まではVBACを行っている病院の準備〜葛藤について書きました。

今回は決断までを書きたいと思います。

覚悟して臨んだ受診

紹介状を記載してくれた医師から「リスクについてかなり厳しいことを言われるから覚悟していってらっしゃい」と言われて挑んだ大学病院の初診日当日。

名前を呼ばれてドキドキしながら診察室に入っていき、待っていたのは30代半ばの男性医師。

まずは名前やアレルギー歴など基本的なことを聞かれました。

お話しながらパソコンを打っています。

・・・なかなか目が合わないな・・という初対面の印象でした。

持ってきた資料についての指摘がありました。

「手術記録が家になく、出産した病院に電話で問い合わせしたのですが、再度受診しないと手に入れられないみたいで。こちらの手術後にもらった書類を代わりに持ってきました」

と言うと

「この書類では足りないです。VBACをやりたいのであれば、それなりの努力はご本人でしていただかないと。次回までに持ってきてください。」

と言われました。

納得する気持ちと落ち込む気持ちとショックな気持ち、いろんな気持ちが渦巻いていました。

続けて医師は

「VBACできるかどうかは、その資料と妊娠の状況を見て全体カンファで相談して決まりますので今はなんとも言えません。とりあえず手術記録を持ってきてください。」

リスクの説明は特にありませんでした。

紹介元の産婦人科の先生には、

「32週まではこちらのクリニックで診て、それから大学病院へうつるということを事前に電話連絡して話を通したからね」

と言ってくれていたので、そのつもりでいたのですが、目の前の医師に

「話通してあるって書いてあるけど、本当かな。うちはこの近隣の決まった病院以外はそういうことはしていないんだよね。誰がこの電話を受けたのかわかんないけど。これについても後で確認して言いますが、とりあえず次回もうちを受診してください。」

と言われました。

紹介元の先生は私が受診する前に優しさで話を通してくれたのに、そんな言い方をされて少しカチンときてしまいました。

そして隣の部屋でエコーを当てました。

冷たいジェルをお腹に塗らた後、エコーで見てお腹の赤ちゃんは元気であることがわかりました。

今まで通っていた産婦人科では看護師さんがジェルを拭き取ってくれたのですが、ここの病院では

「そこのティッシュで拭いてください。エコー写真は机の上に置いておきますので。では。」

と言って、私はお腹丸出しジェルでベタベタの状態のまま、離れた机の上にエコー写真を置いて医師は去っていきました。

その瞬間、私の気持ちがこの病院から消え去っていきました。

ここの病院で産みたくない

この病院で子供を産みたくない。

自分のお腹のジェルを自ら拭き取り、エコー写真を持って一人診察室を出るときに、そのような気持ちでいっぱいになりました。

VBACやるかやらないかの前にこの病院で産みたくないという気持ちが大きくなりました。

最後まで目が合わなかった医師。

紹介元の先生に対しての言動。

VBACに対して不安な気持ちと覚悟、それでも叶えたいという気持ちにまったく寄り添ってもらえず全体カンファで決まるという事務的な言葉だけで終わる受診。

エコー後も虚しい気持ちでいっぱいでした。

次回の予約は取ったものの、もうここには来たくないなと思いました。

もちろん、たまたまそのような外来の医師に当たってしまっただけで、その病院の別の曜日だったら他の医師が担当で、もっと違う対応だったでしょうし、大きな病院なので今回の医師にお腹の赤ちゃんを取り上げてもらうわけではないと思います。

しかし、ここまで来るまでの思い、不安、妊婦という特殊な状態、繊細な心境で起きた出来事がどうにも受け入れられませんでした。

帰宅後の家族会議

病院の待ち時間に夫にはLINEで状況は説明し、長文の愚痴は送っていましたが、改めて夫と話し合いました。

妊娠初期でインフルエンザにかかり、これ以上赤ちゃんに負担をかけたくないという思い。

これから手術記録を取り寄せる時間と費用

紹介元の産婦人科に通い続けるのではなく、毎回の健診で仕事を休んで大学病院へ通わなければならないこと

色々な相談をしました。

TOLAC、VBACをやめる決断

大学病院での出来事、夫との話し合いの結果TOLACをやめることにしました。

既往帝切後妊娠で経腟分娩を”目指すこと”がTOLACですので、一度目指してやめるという決断をしたという意味では、TOLACをまったくしなかったわけではなく一度TOLACを行った後にやめるという決断をしたのだ という解釈をしようと思いました。

ここまで悩んで、受診するまでの過程でお金(紹介状料、初診料、交通費など)も時間もかけましたが、無駄だとはまったく思いません。

むしろ、前回の出産の後チャレンジしたいと思っていた経膣分娩に向けて、自分はやれることをやったんだという気持ちになることができました。ここまでできたことで後悔はせず帝王切開に臨むことができるぞという気持ちになりました。

紹介元の先生に事情を話し、せっかく紹介していただいたのに無駄にしてしまい申し訳ないと話すと逆に謝られてしまいました。

私の気持ちに寄り添ってくれ、実は僕の心の中では、やはりVBACはあまりお勧めしないと思っていたので今回の決断はよいと思います と言ってくださいました。

この命を大切にしていきましょう

と言われ、なんだか泣きそうになってしまいました。

再度出産する病院を探す

一度分娩予約した大学病院に断りの電話連絡をし、再度分娩する病院を探すときには16週になっていたので、分娩する病院が見つかるか心配でした。なんとか運良く家から1番近い病院で分娩予約が取れました。

そこでは既往帝王切開後の妊婦は次回も帝王切開での出産のみなので、もちろん予定帝王切開になりますが、自分の気持ちは固まっていましたし、医師も看護師も非常に優しかったこと、ここまでの道のりがあったので後悔はありませんでした。

妊娠の経過も問題なく進むことができました。(体重管理は怒られていましたが笑)

コロナの流行

2020年妊娠中期に入った頃、世の中はコロナ一色となっていきました。

ただでさえ妊娠という特殊な状況で感染には注意しなければならない状況の中、コロナウイルスという未知のウイルスの心配もしなければならず不安な気持ちが大きくなりました。

そこで、自分の行動を正当化しているだけだとは思いますが

「妊娠初期でインフルエンザにかかり、妊娠中期にはコロナが流行り始め、ここでVBACもやりたいなんて言ってたとしたらお腹の赤ちゃんに怒られちゃっていたな」

と思いました。

ただでさえコロナの感染が不安なのに、子宮破裂のリスクも負わせるというのは私自身が申し訳ない気持ちでいっぱいになるのでこれでよかった と思うことができました。

無事出産 手術中に言われた衝撃的な事実

2020年7月、38週に入り予定帝王切開で無事息子が誕生しました。

これは完全に結果論なのですが、手術してくれた主治医が手術室で赤ちゃんを取り上げた後、手術中ですが私に話しかけてきてくれました。

「お腹の赤ちゃん、へその緒が首に3重に巻きついていたよ。2重ならまだしも3重だからねー。これで下から産もうとしてもどっちみち無理だったね」

と言われ、私は青ざめました。

「下から産もうとして、陣痛促進かけても心拍落ちて結局帝王切開だったよー」

VBACを諦めてよかった。あの時やめるという決断をしてよかった。

むしろ赤ちゃんと神様がそう仕向けたのかなぁなんて思いました。

ここまで決断するのに時間もかかりました。

お産に正解なんて本当にないと思います。

どなたか私の体験談が参考になればいいなと思い書きました。

最後までご覧いただきありがとうございました!